ヤマロ・ネネツ族Yamalo-Nenets

ヤマロ・ネネツ族Yamalo-Nenets

 青森県から出土されている遮光器土偶のマスクと同じ紫外線避け遮光器。円形で縦型に覗き溝のある遮光器もある。半年以上も夜が続き、闇夜にすっかり目が慣れると、太陽が出始める季節に雪原が見えなくなる。その時にも着用している。青森県と東北一帯、日本各地から紀元前2000年前の遮光器土偶が発見されているのは、地軸が現在と異なっていたため北極付近と同じようなツンドラ地帯だったか、オホーツク海日本海が氷でつながっていた事などが考えられる。
 トナカイで雪原を走る時、その遮光器を着け、雪が無い場所では着けていない。2頭のトナカイと細長いカヌーのようなソリ、その後ろに2頭のトナカイ、さらにその後ろにソリというように長々と隊列を組み、samoyed dogsと一緒に長距離移動をする事もある。テントと生活必需品の荷物を積めるソリの場合は、トナカイ3頭並列。


Reindeer herding on the Yamal Peninsula


Reindeer Meat Sales Down in Yamal

 ネネツ族は、北極付近のシベリア大陸ネネチアNenetsia自治区とヤマリアYamalia自治区に現存する有史以前からの民族で、東洋人、日本人、アメリカンインディアンの祖先と考えられている。円錐形のテントはアメリカンインディアンと全く同じ。テントには三角形型もあり、トナカイの毛皮を縫い合わせたカバーで全体を覆っている。シベリア大陸北方ツンドラ地帯で農耕生活し、定住している部族。ツンドラは、場所により永久凍土のある夏に草原となる地帯で、潅木類が生えている所もあるが樹木は生えない。針葉樹林におおわれているタイガ地帯の北にある平原。シベリアのタイガは、-50℃の地帯まで植生しているシベリア・モミ(Siberian Fir)の原生林が続いている。トナカイを飼育し、魚を主食として移動する部族もある。
 言語はラウル諸語系サモエード諸語(Samoyedic)。サモエード語は、ネネツ語(コラク語)、エネツ語(エニセイ・サモエード語)、セリクブ語(オスチャック・サモエード語)に分けられる。
 シベリア北西部に所在するラウル川ヤマル川沿いに紀元前3000年ごろからヤマロ・ネネツ族が定住し始め、ロシアの歴史以前から存続している先住民として現在はヤマロ・ネネツ自治区ヤマル民族管区内に在し、天然ガス・石油が産出され始めてきている。

ナホトカ市
 1950年5月18日、労働ナホトカ村はナホトカ市となる。年間平均気温-13℃〜17℃。現在は諸外国との貿易港となり、日本の中古車が輸入されている。人口約15万人(2002年)の産業都市で、1990年から自由経済地帯となる。京都府舞鶴市小樽市敦賀(つるが)市・オークランド市・東海市(韓国)・吉林市(中国)と姉妹都市交流がある。ナホトカ地区にある捕虜収容所16所のうち、日本人捕虜収容所は9箇所。ロシアの日本人捕虜収容所には総計70万人の日本人がいたとされ、そのうち15万人は収容所内で既に死亡していると推定されている。労働内容は、石灰・炭鉱の採掘、煉瓦造り、建設と道路修理、舗装工事など。
サハ共和国サハ・ヤクティアSakha Yakutia in Russia

 ヤマロ・ネネツの隣の隣、シベリア北東部のサハ共和国サハ・ヤクティア地方(Sakha Yakutia)と言われ、北極付近の東シベリア大陸タイガ・ツンドラ地帯。先住民はサハ(ヤクート)人。他エヴァンキ・ツングース・東スラブ系人種。ロシア人とヤクート人が半々居住している。マンモスの墓がある地域。永久凍土の下にマンモスとケブカサイ(毛の生えたサイ)の化石が発見されている。タイガの北側はカラマツがほとんどで、南下するほどモミ、トドマツ、アカマツ類が多くなる。ツンドラ地帯はコケ類が多い。


ツンドラ地帯の油田火災を止めるため原爆が使用されたこともあった。

人口1万5千のウダーチヌイ

 サハ共和国には石油、天然ガス、金銀などの鉱山資源も豊富にある。首都ヤクーツクの人口が年々増加する反面、他の町の人口が近年減りつつある。ヤクーツクの年平均気温30℃〜-70℃と変化が非常に激しい。ダイヤモンドはロシア国内の99%がサハ共和国ウダーチヌイで産出されている。1955年6月15日にキンバーライト鉱床が発見され採掘され始めた。



ウダーチヌイダイヤモンド鉱山 2006.2.27
チュコツカChukotka自治区

 北極海に面した極北のロシア連邦は、北西からネネチアNenetsia, ヤマリアYamalia, クラスノヤルスクKrasnoyarsk, サハSakha, 北東のチュコツカChukotka自治区と並んでいる。最近は開発工事計画が進められているが、地球温暖化による海面上昇、永久凍土の凍解による水没、窪地や低地の湖化などの問題が発生し、トナカイ、ホッキョクグマ、トド、セイウチ、クジラなどが無人地帯に追いつめられ、自然生態系が急速に崩壊、変化し始めている。北極海は、8月に極地氷解し、一般的な船が通れるようになった。シベリアの反対側にあるグリーンランドや南極も急速に氷が溶け始め、大陸の岩石が現われて来ている。