KAL007事故原因(42)

 1983年8月31日、アンカレッジ空港は夕方から夜にかけて曇り。アンカレッジの過去のお天気データーでは、だいたい曇り。


JST:1983.9.1.3時10分00秒 観測地点北海道-青森:半月,下弦の月,月齢22.952,輝面比46.936%

UTC1983.08.31.16:00,JST1983.09.01.00:00,Himawari2/GMS-2,赤外線気象画像

JST1983年9月1日00:00時の静止衛星Himawari2/GMS-2赤外線画像を見る限り、カムチャッカ沖R20の定期コース上には厚い雨雲が発生し、南下しつつあった。雲が白く見える地域は雨。

<1983年10月7日第100回国会/外務/内閣/運輸/航空評論家による会議録参照>
 1983年10月7日以前のJALボーイング747型機には気象レーダーが2台あり、半径370km以上の地形と雲をレーダーで見ることができる状態であった。その気象レーダーには島影と沿岸線の映像も映り、沿岸線から現在の飛行位置をある程度確認する事ができる。しかしKALボーイング747-230Bと異なっているかは不明。JALボーイング747とKALボーイング747のINSは製造会社が異なっているので、機能としては類似していてもある程度異なっている。確認はされていないが、離陸前のINS設定は副操縦士が通常行うと言う元ボーイング747型機のパイロットによる解説がある。チュン機長はこの航路を42回飛行しており、5コースの内、最もソ連よりのR20ルートは初回だった。INSは電源を入れてから正常に作動するまで、アラインと言う準備時間があり、完了するまでの間に機体を動かすと誤差が発生する。時間が経つにつれてその誤差は増大するが、通常であれば警告灯が点灯し、乗務員に異常を知らせる。大韓航空機に気象レーダーが装着されていたならば、コース逸脱に気づいていたはずであった。

[注意]:但し、半径370km以上(札幌-根室の直線距離が約400km)の洋上の場合は沿岸線が表示されず、方位計(コンパス)と無線中継地点からの距離を頼りにするしかなかった。KAL007便の場合、カムチャッカ半島沖約370kmに接近するまで沿岸線が表示されない。カムチャッカ沖でソ連領空侵犯JST-01:30。この事件に関する9月9日モスクワ記者会見で公表された侵入飛行機の航路は、ソ連側の録画を見る限り、カムチャッカ北東を領空侵犯後コースを南西へ変えている(メルカトル図法で上昇地点を加えた)。アメリカ側の解説ではサハリン島付近までコースを変えていない(方位図法)。KALパイロットたちはJST2時54分以前から既に起き雑談していた。録音テープは2時54分から始まっている。

[脚注1]:「ムルマンスク事件(1978年4月20日)と共通しているように説明のつかない状態だったのではないか」。航空評論家_青木日出雄氏(元ボーイング747機長)「距離測定器の受信状態が良くないと、計器がくるくる回り始めるハンチングと言う現象があり、無線航法で飛べるカムチャッカ沖のニーバから離れていたために距離が正確に出ず、現在地が解らなかったのではないか」。

 最も重要な事は、KAL007便がいつも通りロメオ20航路---R20ルートから80kmまで_ICAOがソ連の了解を得ている航路で、ソ連領に非常に接近するバッファゾーン(緩衝地帯)を設定していた---J501からR20へ入るルートを飛行していれば、事件は発生しなかった。逸脱の原因が、KAL007便の慣性航法装置INSに起因する問題で、様々なケースがあり、設定ミスの確証は無い。その可能性が高いというICAO国際民間航空機関パイロットによる検証と解釈である。慣性航法装置が3台あり、その内の1台が不具合と報告されているが、残りの2台で正常に飛行できる程度の故障で、機長は時刻とスピード、方位などから現在の位置を割り出していた。ワシントンポストによれば、9月1日にソ連の新型戦闘ミサイルSSNX24の発射実験が行われる予定で、その着弾地点がカムチャッカ沖。その日の発射実験は中止され、9月3日に行われた。KAL007(747-230B_HL7442)は、1983年8月にアンドリュース基地で特別な改装を受けたという噂がアメリカで常識的に流布されているが、アメリカ空軍基地で民間機を改造する事は通常あり得ず、無線送受信機などの装置を付けた証拠はない。


Boeing747慣性航法装置INS(Intertial Navigation System)

[脚注2]:KAL007便の慣性航法装置設定ミス (1)アンカレッジ空港で発進位置設定エラーの見過ごし(移動しながら現在位置を拾うとエラーになる) (2)ヘディングモードのまま飛行 (3)現在位置を確認するためのディスプレーと機器が他に無かった。

  1. 雨雲を避けるためにヘディングモードで飛行。コースを戻し忘れたパイロットによる操作ミス。
  2. ボーイング輸送機の形と大きさが旅客機と類似していたための誤認。 
  3. ゲンナジー・オシポビッチ空軍少佐とコルヌコフ司令官の確認の仕方や判断の間違い。但しソ連防空軍内規では夜間の領空侵犯機は撃墜が認められている。

 ブラックボックスJST3時15分21秒「だめだ!この無線感度は非常に悪い」と言うコクピット会話がある。SonDon-Fui副操縦士が使用していた側の無線送受信機かアンテナの感度が悪く、さらにコース逸脱で各中継地点から離れたため、距離測定器で確認する事ができなかった可能性がある。あるいは雲の中や海面付近、地上をすれすれに飛んだ場合、レーダーに映らない。コクピット気象レーダーが2台あったとしても、雲の中では海岸線が映らなくなり、位置を確認しづらくなるので雲を避けたと思える。電波は水蒸気で弱まり、海面地面すれすれで電波反射距離の差が極少の場合レーダーに映らない。
 しかし、コースの逸脱にはどちらのパイロットも気付いていなかったと解されている。さらに誰もが不思議に思えるのは、操縦席の前に「発進位置から現在位置の航路を示す線」がどのように表示されていたか。当時は慣性航法装置による現在位置を確認するための方法や機器が他になかったため、コースを逸脱している事に気付かなかったという他のパイロットが検証した結果が報告されている。
メルカトル図法と方位図法>
 大韓航空機の通常コースは、球体上の方位図法で曲線、メルカトル図法で直線に近い。KAL007(KE-007)が通ったコースは、方位図法の大圏コース(大円航路)で2点間の最短距離だった。ブラックボックスコクピット会話には10分後続で出発したKAL015便(KE-015)よりJST3時過ぎに3分遅れ、追い抜かれた事に驚いた個所がある。但し大圏航路を意図的に飛行したかどうかは、コクピット会話から判断する事はできず、KE-015と大体平行に飛行していると思い込んでいたと解釈することもできる。
 KAL007便に乗っていた中沢建志は、後ろから10列目の左側窓際だった。ミサイルが爆発した場所に近く、まともに当たった座席付近ということも事実であった。1983年にKAL007の乗員乗客の死亡が確定し、その遺族に大韓航空から配られた額が、旅費代(ニューヨークからソウルまでの航空運賃)としてたったの30万円だった話を聞いた事があった。その後、遺族に支払われた乗客に対する弔慰金、慰謝料・葬儀費などがどのくらか、詳しい事に関してまで聞いていなかった。もしその後、何の費用も支払われずに放置されていたのであれば、遺族関係者に対する精神的心理的負担がずるずると長引き過ぎた問題だったのではないだろうか。


NASA>August10,2005

English: Diagram showing the divergence of KAL 007 from its assigned flight path after take-off.
Once it had diverged more than 7.5 miles from the track programmed into its inertial navigation system (INS), the autopilot could not activate INS navigation mode when it was selected by the crew; instead the aircraft continued to navigate on a constant magnetic heading, without the crew realizing this. NOTE: This diagram is incorrect because Cairn Mount is 285km from Anchorage, and therefore could not have been reached 3mins after take-off.


日本語:離陸後の定期飛行航路とKAL007便の逸脱を表している図。
慣性航法装置(INS)にプログラムされたトラックから、すでに(ケアン山から)7.5マイル以上逸脱していたならば、クルーがナビゲーションモードを選択したとしても、自動操縦でINSナビゲーションモードを起動させることができなかった;クルーがこれを理解しなかったため、その航空機は継続的に磁気ヘディングで飛行し続けた。
注意:ケアン山はアンカレッジから285kmであるので、この図は正しくなく、それゆえ、(アンカレッジ)離陸後3分で(ケアン山に)到達することができなかった。

[脚注1]:<参考文献>1983年10月7日_第100回日本国会「大韓航空機撃墜事件に関する件」_外務委員会,内閣委員会,運輸委員会,航空評論家
[脚注2]:慣性航法装置INS(Intertial Navigation System)とは、加速度計をX,Y,Z軸の3軸に配置し、その加速度を1回積分すると速度、さらにもう1回積分すると距離になり、X,Y,Z軸の出発点からの移動距離と現在位置を測定する事ができる。移動中の軸の傾きは、ジャイロによって計算されている。ジャイロも角速度を1回積分する事で各軸の傾きを測定する事ができる。電波、光波によらない自立計測装置で、原子力潜水艦、迎撃戦闘機、ミサイルなどにもその装置INSが使用されている。



(C)Junpei Satoh/The truth of Korean Air Lines Flight 007, 2014-2024-