精神矯正収容所と精神医療(18)

 北極海に面した北方シベリアでは古来からシャーマンの宗教的儀式にイボテン酸を含むベニテングタケが用いられていた。それは精神に作用する薬物LSDで、微量であれば心地良さがあり、少し多くなると幻覚作用ある。

  1. LSDは、1953年にカナダで開発され、囚人の社会的甦生に用いられた。しかし、強体験を抑圧できない場合、精神的症状が悪化する危険性もあるとされている。
  2. 1950年代から各国の捕虜収容所、強制収容所KGB、CIAがLSDを自白剤として用いた。わずかであれば、睡眠不足、疲労中の催眠に効果があり、秘密としている事々を吐かせる事ができ、さらにその自白体験を忘れさせる事ができる。
  3. 自白させる方法としては、強制的に過労と睡眠不足にさせた後、一世代年上の利口そうな厳しい尋問官に長々と尋問させ、気質の合いそうな老練の聞き手役尋問官あるいは精神科医の順番の時にLSDを飲み物に入れて使用すると効果がある。
  4. LSDは、臨床心理学の研究で用いられる精神医薬剤である。しかし、思想的確信のある被験者や誇大妄想者には効果が無いと言われている。
  5. 小麦の麦芽菌の麦角カルカロイドもLSDで、情緒的作用が拡大される。麦角菌はライ麦に多く中毒症状があり、筋肉痙攣、ひきつり、幻覚、てんかん症状がでる反面、血管収縮作用があるため止血剤として用いられていた。
  6. 精神矯正収容所の尋問は、セッションと言われている。
  7. LSDは、0.001mgで穏やかな幸福感、精神的抑圧の解除、感覚が研ぎ澄まされ感応性が鋭くなる。0.05mgでサイケデリック体験と言われる幻覚症状が現われる。
  8. サイケデリック体験とは、知覚が先鋭化した後、音や遠近、直線や空間に歪みが出る。さらに残像が尾を引き、周囲が揺れてうねる。人や動物、虫、物の形が大きくなったり小さくなったりする。色彩は彩度が鮮やかになり、輪郭がくっきり見え、情緒的反応が激しくなる。情緒的反応としては、恍惚、恐怖、悲嘆、不安、絶望、快感、不快感など。
  9. 丸い瞳の周りが二重になり、青い大き目のコンタクトレンズをはめているような目になる。薬だけでなくウィスキーなどの酒を飲むと、その症状が瞳に表われる人もいる。
  10. 薬物による幻覚は、形状や音の歪みと強弱、彩度などに特徴があり、直線が曲線、空間に強弱と歪みが現れる。
  11. 目を閉じた時は、眼球の網膜と残像、毛細血管や血流などが模様化する。合成された記憶と潜在意識や夢などが混ざる場合もある。
  12. 誰もが同じ状態になるのではなく、信仰や思想的確信、環境的量的条件や性格的体質的特性によって違いがでる。
  13. シベリア大陸極北のベニテングタケは、凍った雪の下の草の発熱による湿った場所で成長する。ほとんどのトナカイは、凍った雪を蹄でガツガツ砕き、ベニテングタケを食べずに時々なめている。わずかであれば美味なため、そうする事によって心地よくなるという事らしい。ベニテングタケを食べたトナカイの大きな瞳は少し小さくなり、丸い瞳の輪郭が二重にだぶる。充血している場合もある。
  14. ベニテングタケの場合は、赤い斑の傘のベニテングタケが巨大化し、その下を走ったり、休んだり、歩いたりしながら、たくさん生えている幸福の村へたどり着くような幻覚を見る。食べると美味と言われている。しかし毒性があり、嘔吐する。解毒剤はないので吐いた後に胃を洗うしかない。
  15. 石油系幻覚の例:目を開けると広く明るい室内にいた。碁盤の目のような白黒のPタイルが敷かれ、壁が薄いクリーム色で壁も四角いタイル貼りだった。窓が無く天井が非常に高い。蛍光灯やライトもひとつもない。しかし何故かくっきりしていた。その部屋の中の匂いで目が覚めた。遠くを見ても壁が果てしなく続き、物も無く人もいない。間もなくトンカチで釘を打つ音が段々と大きくなり小さくなった。次にのこぎりを引く音が一定の音量で聞こえ、部屋の中で響くその音がくっきりしていた。私はその音のする方へしばらく歩き続けると、木箱の上で薪を切っていた人がいた。その人は、私の方を見ながら挨拶した。農家や田舎でよく見かける顔をした普通の村人で何も聞かなかった。しばらくすると、最初に見た情景のところで再び目を覚ました。のこぎりの音が聞こえ出し、それが歪んで少しずつ大きく響いたり、少しずつ小さな音になり、消えていった。周りを見ると柱が一本も無い。天井が果てしなく高い。歩いても歩いても壁に行き当たらない不思議に広々とした所だった。

 シャーマニズムの記憶痕跡として、パッチワークや衣服、土器、陶器などの模様に表現されている。原始美術の模様は、薬物による幻覚症状が表われたものとは一概に言えない。しかしその記憶が後遺症として残り、様式として伝達されている場合もある。
 数学的、デザイン的な模様は、薬物とは全く関係していない。反復や増幅による感覚への心地良い楽しいなどの快不快、単純あるいは複雑な複合的刺激によるもので、サイケデリックオプティカルの違いがある。

(C)Junpei Satoh/The truth of Korean Air Lines Flight 007/Several viewpoints from Japan side,10 October 2009-2024-